PHPの現場 36. 技術書の移り変わり(tomihisa)を聴いた

個人出版の実績がある人をお手軽に「使う」ことの是非

ポッドキャストPHPの現場の新エピソード「36. 技術書の移り変わり(tomihisa)」が配信されていたので聴いた。ゲストは、技術評論社のあのさんだ。冒頭の略歴でも話されているけど、1999年に技術評論社に入社して、二十年間出版業界を見てきている。

ポッドキャストを部分だけ切り取って文字にするというのは、文脈を理解しない、ただ叩きたい人のターゲットに供してしまいやすいということがあって、あまりやらないようにと思っているのだけど、自分の考えの整理というエゴイズムのためにやってしまいます。ごめんなさい。

あくまでも切り取っただけ、しかも僕の解釈が入っているという内容だから、何か言う前に、是非とも元のポッドキャストを聴いてほしい。そもそも、出版の移り変わりに興味ある人には、とても面白いからね。

と断りを置いておいて、今回のエピソードの49分頃ぐらいからの話。

馮さんの感覚として、

  • いい本や売れる本を作れている編集者は、売り方もうまい
  • とすると、編集者の役割に編集の他にプロデュースという物も入っている

というのがあるらしい。

昨今、個人出版もすごくやり易くなって、実際にやってる人も沢山出てきている中で、売り方を考える編集者が、個人出版の実績があり、内容もちゃんとしている人を見て、(特に悪い言い方をすれば)「とりあえず整えるから売らせてよ」となってしまうかも知れない、馮さんはそういう風にはなりたくないし、実際にはそういう風にはなっていないと思うけど、と言う。

一方で書き手側の立場であるパーソナリティ(ってポッドキャストでも言う?)のshin1x1さんは、「そういう切っ掛けが欲しくて個人出版をしている人もいるだろう」とのこと。

馮さんもこれを聞いてすぐに「自分は偏った意見を言ったが」と認め、その後健全にこの議論が続いていく。そこで両者に共通しているのは編集者がどういう気持ちで声を掛けるかに関心があることで、倫理的には葛藤のあるところなのだろう(個人というより、業界的に)。

で、僕は、これを聞いてふと物の売り方のことを考えた。「こんなの作ってますよー、お好みに合わせて作ることもできますよー」というのを、日頃営業しておくとか自分のサイトに書くとかしているとしよう。そういう時に、小売りや卸売りの人がそれを仕入れて、自分の所で売るというのは普通のことだ。

これは、shin1x1さんの言うように、そのようにして目に留めてほしいことは明らかなので、合意ができてる。

では、趣味で作ってブログに載せていたぬいぐるみなどがあって、小売りの人がそれに目を付けて、仕入れて、売る。これはどうだろう。うーん、小売りはいい例ではないかも知れない。メーカーがOEMで作るっていう場合に相当するんだろうか。

ちょっと、直感で思ったことをうまく言語化できないので、間違っていたのかも知れない。漠然と、「物を売る時は普通のことなんじゃないか、それは自由主義経済を信じるなら、悪いことは特にないのではないか」ということを思ったのだけど。何がいけなかったんだろう。「個人」出版ということが、違ったんだろうか。うーん。

これは僕の希望交じりの推測、というかむしろ単に僕の願望なのかも知れないけど、馮さんは、「出来上がった」著者とやっていくだけじゃなくて、一緒に成長していきましょう、というスタンスで著者とやっていきたいというのがあるのではないか。と思ったりする。